春というのは,出会いの季節でもあり,それと同時に別れの季節でもあります.どこか物寂しい側面がありつつも, 「夢」 をもって新しい環境に飛び込もうなどという言説をよく聞く季節だと思います.

夢って,なんなのでしょうか.

ふと,或る数学の教師が,「夢は叶わない」と言っていたことを思い出します.淋しい考えですが,どこか同じような考えが自分にも,「やりたい事があるけど,出来るわけないか」みたいに,蔓延っていた気がしているのです.そう思ってるからか,「夢を叶えるために頑張ろう」とか「人生を大いに楽しもう」とか,明るい未来の象徴みたいな言葉があまり好きではないのです.

少しだけ自分の恩師の話をさせていただきます.彼はつい先日まで学校の世界史の教師でした.色々あって恨んだこともありますが,結局僕は彼に 感謝しているし,尊敬しています

前置きが長くなりましたが,そろそろ続けましょう.彼がどんなだったかというと,とにかく 大法螺 を平気で云う人で,「電車の中で石原莞爾の部下と会って話をした」とか「現地人専用の中蒙国境の検問所をこっそり通った」とか云う事をしばしば話されており,そう云うのを聞く度に僕は絶対嘘やろと思っていたのです.

そのような彼は,社会福祉に興味があるそうで,早期退職して,社会福祉を研究しながら,NPO法人を通じて人々の 「居場所」 を作ることを目指すと云っていました.最初はこれも冗談かと思っていましたが,どうやら彼の中で長年の夢であり,本当にそうするつもりらしいと云うことを知ったのは,年度が変わって本当にもう会えないことがはっきりしてからのことです.

その後彼の「夢」が果たしてどうなるのかは判りません.しかし,このように「夢」を見出すことができる,ということに僕は憧れます.そう考えると, 法螺を吹くというのも,案外悪くないのかもしれません